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『超限戦』

anica1

Picka ti materina!

アーニツァだ!

今回の話題は、以前ちょっとだけ話した、1999年2月に中国で出版され反響を読んだ『超限戦』だ。

この著書は何年か前まで"Unrestricted Warfare"の英題でPDFが拾えたのだが今は無くなっているようだ。しかしそれは何ページにも及ぶし、日本語版を入手した方が手っ取り早いと思う。

さて、この超限戦という語だが、英題を見て分かるとおり、全くのフリーハンドでの「戦争」という意味だ。

ここで「」とつけたのは、この本で述べられている「戦争」が軍事にとどまらないからだ。

前に書いたように、現代先進国の軍隊はキレイでスマートな戦争を追及している。

そうした分、こうしたフリーハンドの「戦争」をする相手に大しては反比例をして脆弱になっている。

これはまさに現代の非対称戦のメリットをあますことなく開陳した著書で、非対称戦に興味がある人に是非一読を進めたい。この一冊で非対称戦というものの全体像がはっきりするだろう。

もう一度言うが、

現代先進国の軍隊は、その発達した人権思想の要請により、その発達したテクノロジーを駆使して、自軍と敵側民間人の損害を最小限にとどめつつ敵を徹底的に無力化するという「キレイ」で「スマート」な戦争を追及してきた。

「軍事における革命(Revolutions in Military Affairs, 略してRMA)」はそのことをまさに達成したかのような語である。

しかし、そうした戦争が英語文献で「外科的(surgical)」と形容されるように、現代先進国の軍隊は職人技のような戦争、つまり攻撃目標をすばやく発見し、すばやく移動・捕捉し、正確に攻撃し、確実に撃破してのちすみやかに撤収する、というややもすれば机上の理想像であるかのような戦争のやりかたを実践することを要請されている。

ここが、非対称戦を行う者の目の付け所なのだ。

外科医がどんなに優秀でも手術中邪魔をして失敗させるのは子どもでもできるものである。

「キレイ」で「スマート」を「キタなく」「無様に」してしまうのは地味で簡単な手段の積み重ねで十分だと言うことは前回書いた。

ここまでは、軍事の分野だ。

だが、『超限戦』はこれだけにとどまらない。

その攻撃対象は軍事に限らず、また敵本国の社会・経済に直接打撃を与えることを目的としている。

純軍事的なものを狭義の安全保障、社会・経済など非軍事分野をも含めたものを広義の安全保障とよぶことがあるが、ここではその敷居は取り払われている。

この意味で超限戦は非対称型戦争ながら直接戦略をとるものと言えよう。

この著書では攻撃のタイプとして、

軍事:核戦争、通常戦、生物化学戦、生態戦、宇宙戦、電子戦、ゲリラ戦、テロ戦、

超軍事:外交戦、インターネット戦、情報戦、心理戦、技術戦、密輸戦、麻薬戦、模擬戦(威嚇戦)

非軍事:金融戦、貿易戦、資源戦、経済援助戦、法規戦、制度戦、メディア戦、イデオロギー戦

を上げ、これらを組み合わせて同時に攻撃を行うことが効果のある超限戦であると主張している。

この戦争を行う上での原則として、全方向性、リアルタイム性、有限の目標、無限の手段、非均衡、最小の消耗、多次元の協力、全過程のコントロールが提示されている。

この著書では、時期的に1998年のアジア通貨危機の時期であることから特に金融攻撃の有効性が強調されている。

しかし、現代先進国の社会・経済について全体像を把握している人にとっては、こういう戦争の恐ろしさが理解できるだろう。

現代の、人権思想が発達し、攻撃されることに心理的にも物理的にも脆弱化した人々が構成する、ダメージに脆弱で、また高度にネットワーク化されダメージがあっというまに拡散する現代先進国の社会・経済において、

こうした犯罪行為上等のなんでもありの攻撃を複数同時に受けたらどうなるか、想像してみるのだ。

現代先進国の社会・経済が発達すればするほど、フリーハンドの超限戦ファイターたちにより与えられるダメージの深刻度は増すばかりなのだ。

このブログでは基本的に軍事問題を扱っている。

しかし、超限戦について知ることは非対称型戦争の原理を知るのに好都合であるし、

これからのこのブログの内容の理解のために適当であると判断し、今日このエントリを書いた。

また軍事に限定すると言っても、実際にこうした攻撃が行われれば軍事・非軍事の境界がなくなるわけであるから、そうしたトピックが来れば当然そうしたものについても書いていくつもりだ。

非対称戦を扱っている以上、必要があれば軍事以外のものごとについても扱う。



それでは、今日はこんなところだ。




Do Vidjenja!

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crnaoluja

Author:crnaoluja
こんにちは。
東欧地域の戦略環境分析が専門のシンクタンクで研究員をしておりますチェコ出身のエリシュカ・マジャーコヴァーと申します。

ネクロマンサーのすぴか、その一味のミルチャ・アントネスクとともに東欧情勢について御説明していきたいと思います。

ハンガリー以北(V4)+バルト三国は私、南東欧がミルチャ、地政学・戦略論など理論面はすぴかが担当致します。

文責は @crnaoluja (twitter)

ミルチャのアイコン絵はあんねこ先生より頂きました。
http://a-n-neko.tumblr.com/

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