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地政戦略分析のツール

supika2

えー、顔を出すのも申し訳ない、すぴかです。
(…ほんとは顔を出してお詫びしなければならないのは管理人の「黒いの」なんですが…)

去年はえらい忙しく、またここのテーマとは関係ないことに没頭してないといけなかったのでかなりご無沙汰しました。

ツイッターやってると知識がただ漏れてブログ書くまでに知識が溜まらないというのはあくまでもサブですサブ。


supika1

さて、今回は前々回にお話した地政戦略の分析の理論面についてです。

まだ調子を取り戻していないのにいきなりどうかとも思ったのですが、よく考えてみると戦略学に地政学の学問領域に特定のものを付加するだけで、少なくともここでやる分には十分なことなので、やってみましょう。


さて、今回は地政学戦略の分析のツールというお題です。

地政戦略を分析するためにまず分析しないといけない対象でもあります。

グレイの表現では、戦略を「レーシングカー」に例えると、その構成部分、「エンジンやギア、ブレーキ、タイヤ、そして運転手」にあたるものです。


さっきからグレイグレイと言っているのは、そのグレイが著書「Modern Strategy:1999」第一章で述べられている「戦略(軍事戦略)の17の次元」から地政学戦略分析に有用なものを拝借しようという魂胆だからです。

グレイの「戦略の17の次元」とは、

第一のカテゴリー:「人と政治(people and politics)」
社会(society)
文化(culture)
政治(politics)
倫理(ethics)

第二のカテゴリー:「戦争のための準備(preparetion for war)」
経済(economics)
兵站・輸送システム(logistics)
軍隊組織(oraganization)
情報と諜報(information and intelligence)
戦略理論とドクトリン(strategic theory and doctrine)

第三のカテゴリー:「戦争自体(war proper)」
軍事作戦(military operations)
指揮(command)
地理(geography)
摩擦(friction)
敵(adversary)
時間(time)

これは当然戦争のための戦略ですからそこから地政戦略分析のためのツールとなるものを抜き出さないといけません。

となると第一のカテゴリーは「倫理以外」全て対象となる。


第二のカテゴリーからは、

「経済」地政学の文脈で必要となる。Geoeconomicsという要素も入る。

「兵站・輸送システム」はこの場合上の「経済」の文脈で使用可能です。

「軍隊組織」はその国の軍事組織の性格、思想、政治との関わりという観点で考慮の対象に入ります。

「情報と諜報」はここでは対象外。

「戦略理論とドクトリン」は、安全保障上の要請が地政戦略に影響を与えることを考えるとこれも入れないといけません。


第三のカテゴリーはまあ、オミットしていいものだとは思います。

ただ「地理」、「摩擦」、「敵」、「時間」をも一見考慮に入れる価値があると思うのですが、あくまでも対象国の地政戦略分析の補助的なツールとして有用と思われるので、とりあえずここでは通常の議論ではサブ的なものとして扱うことにします。


ところで、ウィリアムソン・マーレーは著書The Making Of Strategy(Williamson Murray編:1994、邦題「戦略の形成」)において、グレイの第一のカテゴリーにあたる部分に「歴史(history)」「宗教、イデオロギー、文化(religion, ideology and culture)」を加えています。

グレイは上記の著書の中で、特に「歴史」は「文化」の範疇に入れるべきと主張しています。

しかし、ここのブログは、あくまでも南東欧諸国の地政学、地政戦略を分析・描写してこの地域の安全保障を語ろうという主旨ですので、その主旨にそって選択を行います。

グレイは「歴史」を「歴史的体験」として論じていますが、この地域では単なる「体験」だけでは論じつくせないようなものがあるのです。

例えば、極端な例で言えば。マキシマリズム。

これは大セルビア主義、大クロアチア主義など、その国の民族主義的な人々が、歴史的事実と関係あろうと無かろうと、歴史を恣意的に解釈して、「本来あるべき」という当為でもって「本来の領土」を追求するというものです。

これは「体験」ではなく「イデオロギー」の範疇に入るであろうものです。

また、これはマイルズ・カーラーとバーバラ・F・ウォルター編のTerritoriality and conflict an era of globalization(Cambridge Oxford Press:2006)で述べられているのですが、

グローバリゼーションが進んだ結果実際の国境が曖昧になり、

そのせいで人々の頭の中で国境は概念化し、そのためその概念化された「国境」は人々の中で「理想」とされる「国境」により近いものになっているとの面白い指摘をしています。

これはもちろん「歴史」上の「体験」を出発点としていますが、それは既に事実を越えて当為と化している「イデオロギー」とも言えるものです。

また、宗教はそれ自体文化に没入させるには南東欧情勢の分析においては不適切であると私は思います。

よって、ここでは、グレイの「文化」をマーレーの主張する「宗教、イデオロギー、文化」に置き換えてみることにします。


ただし、そうして歴史そのものが強い影響力を持つがゆえに、歴史的事実そのものの探求を軽視するわけにはもちろんいきません。

一つの歴史的事実について客観的に分かっていないと、それについて複数の民族が異なった解釈をしているような場合にそれら全てを俯瞰的に見ることが難しくなるのです。

よってここには「歴史」の次元も加えることにします。


南東欧の特殊性を考慮した上でのことです。



以上、以下のようにまとまります。

社会(society)
歴史(history)
宗教、イデオロギー、文化(religion, ideology and culture)
政治(politics)
経済(economics)(兵站・輸送システム(logistics))
軍隊組織(oraganization)
戦略理論とドクトリン(strategic theory and doctrine)



今回はこんなところでしょうか。

それでは、次からは時事ネタに復帰する予定です。
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プロフィール

crnaoluja

Author:crnaoluja
こんにちは。
東欧地域の戦略環境分析が専門のシンクタンクで研究員をしておりますチェコ出身のエリシュカ・マジャーコヴァーと申します。

ネクロマンサーのすぴか、その一味のミルチャ・アントネスクとともに東欧情勢について御説明していきたいと思います。

ハンガリー以北(V4)+バルト三国は私、南東欧がミルチャ、地政学・戦略論など理論面はすぴかが担当致します。

文責は @crnaoluja (twitter)

ミルチャのアイコン絵はあんねこ先生より頂きました。
http://a-n-neko.tumblr.com/

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