ギリシア独立記念日の事件(少しだけモスクワのテロ)
Picka ti materina! アーニツァだ。
管理人が忙しく、また更新が滞ってしまったことをお詫びする。
前回に提示した問題については、ニュースを追いながらその都度背景説明、解説していこうと思う。
さて、今回の件はギリシアでの民族主義、わけてもマケドニア、アルバニアに対する嫌感情についての事件だ。
3月25日、ギリシア独立記念日、軍事パレードにおいて行進するギリシア沿岸警備隊特殊部隊の隊員が「血をみんな抜き取ってやる! アルバニアの豚め!」などと過激なシュプレヒコールを上げた。
http://www.balkaninsight.com/en/main/news/26957/
そのときの模様だ。
http://www.youtube.com/watch?v=lY4kJXLbrCs
リンク先にギリシアの極右についての動画があるので見て欲しい。こういうのは幾分かプロバガンダが入るので判断は各自にまかせる。
この動画では、観衆が拍手を送っていることに注目したい。
この問題ではギリシア側は両国政府に対し自国大使に公式に謝罪を行わせている。
マケドニアとは、未だに「名称問題」で双方は歩み寄りを見せていない。
ギリシアは「『北マケドニア共和国』なら賛成する」と提案しているがマケドニア側は主張を崩していない。
こうもギリシアがこだわるのはマケドニアが古代ギリシアの栄光の名前である(当時の記録に古代オリンピックでマケドニア王国代表が参加しようとしたらマケドニアはヘレネスではないと難癖をつけられたというのがあるが…)とともに、マケドニアがギリシア領マケドニア地方への領土的野心を持っているのではないかとの疑惑を持っているからだ。
さらに、ギリシア領マケドニア地方(いわゆるエーゲ・マケドニア)からは戦後「スラヴ系住民」はユーゴスラヴィアに移住して以来この地方にはスラヴ系住民は存在しないというのがギリシア政府の立場だが、実際にはギリシアに残留したスラヴ系住民は未だ存在し、彼らはギリシア風の姓を名乗ることを強制された。
こうしたことからギリシアはこの問題で決して譲らない、あるいは「北マケドニア」の名称に固執すると言う立場を取り続けている。
アルバニアとは表立って領土問題で争ってはいないが、ギリシア民族主義者は1912-13年の第一次バルカン戦争でギリシア軍が占領した「北エピルス」はギリシア固有の領土と見なしている。
民衆レベルではアルバニア人のギリシアでの犯罪行為などが主な関心事であるようだ。
経済悪化でギリシア内で蠢くこうした動きがどこへ行くのか。
パパンドレウ政権が自分達に向かう民衆の不満の矛先をどうするのか、当面はそれにかかっていると思う。
さて、久しぶりにすぴかに登場してもらおうか。
モスクワの件だ。
えー、かなりお久しぶりです。すぴかでございます。
そろそろ春で私の体も腐敗が進むかと少々鬱だったのですが、このところの寒の戻りで一息ついているところです。
さて、今回はモスクワのテロの件で少々。
このブログではバルカン情勢の背景として黒海沿岸・ロシアを扱うとしているので事件の詳細を調べるということはしません。
ただ、去年4月にロシア政府が制圧宣言をした北コーカサスの武装勢力がまだ生きていること、それにより現在ロシアの各地でデモを行われて威光に翳りが見えてきたプーチンが今後どうするのか、それによりロシアの対外政策が変わるのか否か、は重要ですので、これを解説する範囲内で調査、説明をしていきたいと思います。
さて、今回のテロでロシアの治安当局FSB(連邦保安局、KGBの事実上の後身)はチェチェン過激派のテロの疑いが強いとしています。
この件について北コーカサスのイスラム過激派の御用サイト「カフカスセンター」は「今回の犯行はロシア当局による長年の暴虐の結果だ」とチェチェン過激派の犯行を臭わせる文面。
http://www.kavkaz.org.uk/eng/content/2010/03/29/11741.shtml
今のところ犯行声明は出ていない模様。
チェチェンゲリラの頭目たちを中心とする「コーカサス・アミール国」(下画像参照)
の公式サイトにも犯行声明らしきものはありません。
http://www.alkavkaz.com/haber/haber_detay.php?haber_id=1008
これは少々待たないといけないでしょう。犯行声明が出ればチェチェンの過激派がらみが確定します。
ただ、今のところいまいちこの件はイスラム過激派の犯行として片付けるにはちと考えるところがあります。
どうも第二次チェチェン戦争の前に起きた1999年のモスクワでのマンション爆破事件の件を思い出すのです。
この件でロシア世論の対チェチェン強硬論が盛り上がり、プーチンの大統領選に貢献しました。
この件についてはプーチンとFSBの自作自演疑惑が根強くあります。例えば管理人の院での指導教授もそう信じて疑いません。
この事件の真相が未だに解明できないように、この種の事件はこうだと断定することは不可能に近く、私ははっきりした判断を下すことはできません。
しかし、仮にロシア当局が自作自演を行ったとすれば、それは非常に時宜にかなったものであるのです。
現在、経済悪化が原因でロシア各地で反プーチンのデモが起きています。
プーチン、シロヴィキの権力基盤は治安機関(特にFSB)や軍なのでこれをくつがえすことは非常に難しいでしょう。
しかし、事態を放置しておくわけにもいかないでしょう。
その意味で、今回またプーチンが「手柄」を立てロシアの指導者は彼しかいないと民衆に思い知らせることができれば、政権にとってかなりのプラスになるはずです。
ただ、それは今回の事件がロシア国民に与えた衝撃の程度にもよります。
それほど衝撃が多くなく、「手柄」を立ててもさほどの反応も無ければどうなるでしょうか。
どうも今のプーチンと1991年、1999年の戦争前夜、連日の反政府デモと対峙していたミロシェヴィッチと重なるのです。
さっきも申し上げたように、「自作自演」とはあくまでも可能性です。
ただ、当局がチェチェン過激派の仕業の疑いがあるとしている以上、犯行声明のあるなしに関わらず当局は行動を起こすと思われます。
今後の出方について、注視していく必要があります。
そういうわけだ。
それでは、Laku noc i Do vidjenja!
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