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難民危機後の欧州についての現時点での展望、手短に

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Dobry vecer!

エリシュカです。


欧州の難民危機は、ドイツの政策が安定しないこともあってどうにも扱いづらい困ったファクターです。

とりあえず、現時点での展望を、手短に書いてみたいと思います。



東欧諸国が西欧型リベラリズムの影響下にあるのはEU加盟国の地位の恩恵が重要ですし、それが危うくなれば伝統的な政治文化や近隣諸国関係が台頭してくる可能性があります。難民問題は彼等に西欧への疑念を起こさせました

統一欧州というユーフォリアが去って「地理が頭をもたげてくる」といったところでしょうか。欧州各国にそれぞれの伝統的地政学思想が復活して欧州の共通外交・安全保障政策の維持が困難になればEUどころかNATOの機能維持も危うくなる危険性もあるでしょう。

今のロシアは過去に欧州ができあがる切っ掛けになった東方からの襲来蛮族や後の統一欧州の端緒となった冷戦時代のソ連ほどの脅威ではありません。さらに欧州にエネルギーを供給しているという状況下ではこうした現状を乗り越えて欧州の団結を取り戻すまでには至らないでしょう。

問題なのは、南東欧からウクライナにかけてここをどこかの覇権国が勢力下に収めるというのではなく、欧州も露も衰退した状態で南東欧のあちこちで紛争に火がついて糜爛状態になった場合、NATOの牽引役の米国がどう対応するかです。ここでの紛争は中東での紛争ほど米国にダメージがありません。

90年代に米国が旧ユーゴ地域での紛争に大規模介入した当時のような利用価値が今のNATOにあるかについて、今の米国がどのように思っているかにかかっているでしょう。

欧州の今後がどうなるか、それによって米国にとっての欧州の地政学的位置づけが決まってきます。

欧州方面でのハートランドのパワーの伸長もリムランド内での挑戦的な覇権国の台頭も可能性が著しく低くなったら米国が欧州にコミットする度合いはどうなるでしょうか。NATO初代イスメイの「ロシア人を締め出し、ドイツ人を押さえつけ」の必要が無くなったら。(注:イスメイの言には「アメリカ人を引き込み」も入っています)


そして、上で書いたように現時点でバルカンでの諸紛争地域に火が付いた場合、より厄介な問題が考えられます。

現時点でバルカンにはアルバニア、クロアチア、ブルガリア、ルーマニア、ギリシア、トルコの6っか国、モンテネグロが加盟すれば7か国のNATO加盟国があります。

ご存知のようにNATO憲章とも言うべきワシントン条約には加盟国の領土保全が侵害された場合の防衛行動の義務を定めた第5条があります。

バルカンの多地域で紛争が起きた場合、この複数の加盟国が同時に5条対応を要請して、その扱いの問題でNATOが機能不全に陥る可能性が否定できません。

第5条はNATOの存在理由です。こうした事態はNATOの存在そのものを揺るがしかねないものになるでしょう。


今日はこんなところでしょうか。

それでは、Na shledanou!

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crnaoluja

Author:crnaoluja
こんにちは。
東欧地域の戦略環境分析が専門のシンクタンクで研究員をしておりますチェコ出身のエリシュカ・マジャーコヴァーと申します。

ネクロマンサーのすぴか、その一味のミルチャ・アントネスクとともに東欧情勢について御説明していきたいと思います。

ハンガリー以北(V4)+バルト三国は私、南東欧がミルチャ、地政学・戦略論など理論面はすぴかが担当致します。

文責は @crnaoluja (twitter)

ミルチャのアイコン絵はあんねこ先生より頂きました。
http://a-n-neko.tumblr.com/

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