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モルドヴァ・ルーマニア統合要求デモとウクライナ領ベッサラビア

sabun1.jpg


Dobry vecer!

エリシュカです。


今回はモルドヴァの首都キシナウで行われたモルドヴァ・ルーマニア統合要求デモとウクライナ領ベッサラビアについて語ってみたいと思います。

モルドヴァの政治状況もどたばたしているのですが、それを書くとエントリの要点が掴み辛くなるので、これについては後ほど触れます。


まず、記事から。

5月16日、モルドヴァの首都キシナウにおいて、「さらばロシア! ベッサラビアはお前のものではないことを忘れるな!」をスローガンとする、ルーマニアとの国家統合要求デモが三千人規模で行われました。

http://abcnews.go.com/International/wireStory/moldova-rally-urges-reunification-neighboring-romania-31091191

モルドヴァは独立後ルーマニアとの国家統合に傾いていた時期があったものの、沿ドニエストル紛争や南部に居住するガガウズ人の強硬な反対姿勢により撤回しています。

ガガウズ人は以前のエントリで触れたようにトルコ系の東方正教信徒の民族で、モルドヴァ南部において17万人程度(モルドヴァの総人口の4%)が居住しています。

彼らはモルドヴァがルーマニアと合邦するのなら独立すると主張したために1995年ガガウズ自治区の設置を認められ大幅な自治権を獲得しました。

ですが以後も度々分離主義的・親露的な傾向を見せ、沿ドニエストルと並ぶモルドヴァ国内の不安定要因となっています。


こうしたこともあり、モルドヴァ政府は現在ルーマニアとの統合というスタンスはとっておらず、このデモの直前に、ルーマニア人とモルドヴァ人で構成され両国の国家統合を目指す政治団体アクション2012のリーダーでルーマニア国籍のジョルジェ・シミオンが国家安全保障を脅かした咎でモルドヴァ当局により追放されました。

http://news.yahoo.com/moldova-expels-romanian-ahead-pro-unification-rally-095811160.html


さて、今回は、こうしたモルドヴァ国内の動きがウクライナ領ベッサラビアにどう影響するのか見ていきたいと思います。

ルーマニアがもぎとられた「ベッサラビア」は実は2つに分割され、一つは現モルドヴァでもう一つはウクライナ領ベッサラビアです。

180px-Moldova-CIA_WFB_Map.png

このウクライナ領ベッサラビアに居住する諸民族が、今年4月6日、ウクライナのオデッサで「ベッサラビア人民ラーダ」(BPR)の名で会議を行いました。

http://www.jamestown.org/programs/edm/single/?tx_ttnews%5Btt_news%5D=43772&cHash=28df6321af87b507a73e62c8d0d1f2e1#.VV4USOmJjIV

これにはガガウズ人、ブルガリア人、ウクライナ人、ロシア人、モルドヴァ人が参加しています。

もちろんこれはこの地域の諸民族全体を代表するものではありません。

記事によれば、ウクライナ国内におけるガガウズ人とブルガリア人の代表は自制を呼び掛けています。

このBPRが今後どれほどこの地域において影響力を持つかは今後注意深く観察する必要があります。

ただ、モルドヴァにおいてルーマニアとの国家統合の機運が高まった場合、モルドヴァ国内のガガウズ人や沿ドニエストルのロシア人から反モルドヴァの機運が国外の同胞に広まる可能性があります。

前述のアクション2012の党章にはウクライナ領ベッサラビアはルーマニアの中に含まれていませんが、モルドヴァ・ルーマニアの世論がそれに追随するかは不明です。
Basarabia-pamant-romanesc-afis-cu-tricolor.png


そしてこのウクライナ領ベッサラビアがウクライナ本国から分離傾向を示し始めた場合、それはオデッサを軸に沿ドニエストルと繋がり、そして仮にウクライナ東部における停戦が破たんした場合ノヴォロシア実現において重要な要素となるでしょう。


そして、私が見ているのはブルガリア人の動向です。

ウクライナ領ベッサラビアの情勢変化でこの地がウクライナ政府やモルドヴァ・ルーマニアとの関係が悪化した場合、ブルガリア本国内の世論を刺激する可能性があります。

ただ以前お書きした通り、マケドニア問題をめぐって親露傾向のあるギリシアと競合関係にある以上、ブルガリア政府が明確にロシア側になることはないと思われます。


ウクライナ西部方面は徐々に注意深く観察しなければならない要素が出てきた観です。

ハンガリーの極右集団ヨッビクがウクライナ西部のザカルパッチャ州のハンガリー系を扇動したというニュースもあります。


今日はこんなところでしょうか。

それでは、Na shledanou!
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No title

『ベッサラビア』で検索したら出てきました。
エリシュカさん かわいいですね。
これゲームじゃないですよね。リアル世界の話ですよね。


モルドヴァがルーマニアと言葉が同じなのに一緒の国にならないのは何でかと思っていたのですが、モルドヴァはモルドヴァで複雑な事情を抱えていたんですね。”国の中の国”がたくさんできてしまうような状況で。
(1940年にソ連に併合されるまで歴史上ずっと“ルーマニア領”だったと思っていました。)

あのあたりは土地が真っ平らに近いので、どこからでもさまざまな民族がやってきては方々に住み着き・・・という状況が昔からずっと繰り返されてきたのではないでしょうか。

それぞれが一斉に、”ここは俺たちの国だ”と言い始めたら、ということなんですね

お返事遅くなりました(汗)

こうしたブログ体裁にしてあるだけで創作話ではないです(笑)

ユーラシア中央部から黒海北岸を経て欧州に西進する場合、カルパチア山脈に阻まれますので北に向かいハンガリー平原に抜けるか南下してドナウデルタに出るか、ですね。かつてブルガリア人の祖先の一つであるブルガル人も後者のルートで現在の地に入りました。

そのせいで多民族国家が多い東欧でもルーマニアの少数民族の多さは際立っていると思います。

一つの国家が独立するとその中の少数民族が同じ主張を始めるといういわゆる「マトリョーシュカ現象」は冷戦後の東欧や旧ソ連地域でよく見られた光景で、モルドヴァの例はいくつかある事例の一つです。

この不安定さと工業地帯をロシア系の沿ドニエストル共和国に抑えられている関係でモルドヴァは今でも欧州最貧国という立場です。

これからも精進いたしますので、今後ともこのブログを宜しくお願い致します!
プロフィール

crnaoluja

Author:crnaoluja
こんにちは。
東欧地域の戦略環境分析が専門のシンクタンクで研究員をしておりますチェコ出身のエリシュカ・マジャーコヴァーと申します。

ネクロマンサーのすぴか、その一味のミルチャ・アントネスクとともに東欧情勢について御説明していきたいと思います。

ハンガリー以北(V4)+バルト三国は私、南東欧がミルチャ、地政学・戦略論など理論面はすぴかが担当致します。

文責は @crnaoluja (twitter)

ミルチャのアイコン絵はあんねこ先生より頂きました。
http://a-n-neko.tumblr.com/

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