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西側の南東欧地域の管理についての評価

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お久しぶりです! すぴかです。

このところ大分涼しくなって体の腐敗もひと段落していたので油断していたのですが、先日の夏の戻りで少々大変なことになっていました(笑)


今回は南東欧地域を大局的な観点で、具体的には西側の南東欧地域の管理について私なりの評価を行いたいと思います。

今回はまずこの記事について。
https://www.washingtonpost.com/news/monkey-cage/wp/2016/09/19/heres-how-russias-trying-to-sway-opinion-in-serbia-and-the-balkans/?postshare=5131474475459613&tid=ss_tw
ロシアの影響力のバルカンへの浸透についての記事。ここでは露のバルカンへの浸透の努力を行っている理由として、ボスポラス海峡を手中にすること、従前からある汎スラヴ主義を上げています。

話は前後しますが、現在NATOが対露安全保障でもっとも力を傾注しているのはバルト地域です。

この記事はエストニアにおける露の情報戦について。
http://www.jamestown.org/single/?tx_ttnews%5Btt_news%5D=45780&tx_ttnews%5BbackPid%5D=7&cHash=9364caa1acbd17bb7bad9966915e6621#.V-lVX-T_rIW
この記事はエストニア国内の露系に対しエストニア当局に対する不信感を醸成する例をとりあげています。このサイトによるプロパガンダについて。http://www.rubaltic.ru/

露がバルト方面に本気で進出する気がなくユーラシア方面を正面としているとしても、NATO加盟国内で厄介な民族紛争を起こして露系弾圧を「糾弾」しモラル的に優位に立とう(少なくともウクライナ侵攻で受けた侵略者の汚名を相殺)とすることは十分考えられます。 

さらに露がそうした行動を行ってバルト諸国がNATOに5条対応(集団防衛行動発動)を求めた場合、NATO加盟国内で不協和音があるならばそれを侵略と認める過程が長引くことも予想されます。NATOは公式にはハイブリッド戦争を侵略と認定すると言っているもののこうした事態は判断が難しい故。 

さらに、ここで深刻な民族紛争起こせば、ユーラシア方面が正面だとしても後方の安全確保のための遅滞戦術として有効でしょう。

しかし、だからといって露のバルカンに対する脅威は小さいとは言えません。NATOはバルカン地域を楽観しすぎていると思います。NATOのバルカン内陸部・西部における守りは脆弱と言っていいでしょう。

先程書いたようにバルト地域も懸念されるとはいえNATOはバルカンにおいては従前からの安定化活動を継続している以外はせいぜいブルガリア・ルーマニアを黒海での活動のための基地として認識しているだけとしか思えません。
 
まあ先の露のバルカンへの影響力浸透の記事ではルーマニアがあの重要な地政学的位置にあるのに反汎スラヴ主義であること、ブルガリアのマケドニア問題における姿勢についての言及がありませんが、露の目的の一つであるボスポラスの奪取についてはギリシアが親露、トルコも対露宥和姿勢でという現況では一笑に付せません。

先日、ヴチッチ・セルビア首相は国連総会で「セルビアはバルカンの安定の柱である」と演説しました。地政学的な意味に加えセルビアの中立政策、さらにクロアチアなど歴史的に不仲な国とも関係悪化しこそすれ危険なほど事態をエスカレートさせない点についても今の政権は評価できます。
http://www.b92.net/eng/news/politics.php?yyyy=2016&mm=09&dd=23&nav_id=99295
また、事務総長含むNATOのトップとの会談でヴチッチ首相は「ロシアのバルカンへの影響についても語ったが我々には我々の問題がある」。
http://www.b92.net/eng/news/politics.php?yyyy=2016&mm=09&dd=22&nav_id=99285

バルカンに現時点で存在する諸問題に真剣に取り組むだけでも露の影響力強化を抑えることができます。西側はこの点について真剣に考えるべきだと思います。

しかし西側がこのバルカン安定のために重要なセルビアを完全に取り込むことは不可能な状況となっています。

内部事情の話は置いておくとして地政学的にはセルビアを置いて先にクロアチアとアルバニアをNATO加盟させてしまったのはまずかったというのが私見です。1999年の空爆、コソヴォの事実上の喪失に対する一方的な被害者意識からのセルビア人の反NATO感情について深刻に受け止めていたとは思えないし、それが中長期的にセルビアの対西側政策にどのような影響を及ぼすかについて考えるべきだったでしょう。今のセルビアはスルプスカ共和国もふくめてNATOに包囲される形になっており(モンテネグロが入れば完成)、第二次大戦当時の状況をセルビア人に思いださせるような格好になっています。

西欧諸国の防衛担当者の腹の中で考える南東方面の防衛ラインとNATOの領域とは今一致しているのか、一致していないのならばそれはどのあたりなのでしょうか。

これはあくまでも私見ですが、NATOがこの地域に対する露の浸透に対して鈍感と言えるほどリアクションがないのは、もうNATOはバルカン放棄を考え始めている証左ではあるかもしれない。自分はわりと本気でこれを考えています。もちろんバルカンを失えばNATO主要国のすぐ近くにまた厄介な紛争地帯ができるのみならず黒海・コーカサス・中央アジアへのアクセスを完全に失うことになりますが、パワーがないのではどうにもなりません。 

露のバルカン進出にも課題はあります。マケドニアはブルガリアの失われた領土だとするブルガリア、マケドニア人はギリシア古来の領土マケドニアの場所ふさぎをしているけしからんスラヴ人とするギリシア、ブルガリアとギリシアに反発するマケドニア、ロシアはこの三者を親露国として取り込むならこれを抑え込む影響力を持たなければならないでしょう。これは今後の東西の力関係の動向次第だと思います。

今日はこんなところでしょうか。

では、また。

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プロフィール

crnaoluja

Author:crnaoluja
こんにちは。
東欧地域の戦略環境分析が専門のシンクタンクで研究員をしておりますチェコ出身のエリシュカ・マジャーコヴァーと申します。

ネクロマンサーのすぴか、その一味のミルチャ・アントネスクとともに東欧情勢について御説明していきたいと思います。

ハンガリー以北(V4)+バルト三国は私、南東欧がミルチャ、地政学・戦略論など理論面はすぴかが担当致します。

文責は @crnaoluja (twitter)

ミルチャのアイコン絵はあんねこ先生より頂きました。
http://a-n-neko.tumblr.com/

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