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ウクライナ以降のセルビアのスタンス

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Dobry vecer!

エリシュカです。


さて、今回は筆馴らしに前回のエントリ以降のセルビアと周辺国との関係についてざっと描いてみたいと思います。

いろいろなイベントがありましたが、基本的に同一線上にある事々が次々に生起しただけなので、追うのは簡単です。

まず、クロアチアとの関係です。


今までそれほど悪くもなかったセルビア・クロアチア関係が急速に悪化したのは、何といっても以前のエントリにも書いたヴォイスラヴ・シェシェリの一時帰国です。

ヴコヴァル占領を「解放」と表現したりクロアチア国旗を焼くなど挑発的な言動でクロアチア政府を激怒させてきましたが、

問題なのは、一私人であるシェシェリの言動なのにかかわらず、これがクロアチア・セルビア両政府要人同士の論争にまで発展してしまったことです。

これに関してクロアチア側は、セルビアにとって嫌がらせとも取れる、先にクロアチア内戦を終わらせたクロアチア政府軍によるオルーヤ(嵐)作戦においてセルビア人に対する民族浄化を行った疑いでICTJに起訴され、無罪放免されてセルビア側が怒った件の中心人物であるアンテ・ゴトヴィナ将軍を大統領顧問にするという決定をしました。

さらにコソヴォに接近し今後EU加盟の指南など様々な面で協力関係を行うことを確認しました。


アルバニアとの関係は、一向に改善の兆しを見せません。

先にラマ首相がセルビアを訪問した際事実上ケンカ別れして帰ってきた件については前のエントリで書きましたが、

今度は、コソヴォがEU加盟できないのであればアルバニアはコソヴォと「クラシカルな方法で」合邦すると発言し、セルビアの強い反発を招きました。


こうした展開を見ていくにつけ、どうにも歯がゆいのがEU・NATOの対応です。

以前から申し上げているように、ロシアとウクライナで対峙している状況下、バルカン半島は、がっちり守っている東欧北部やバルト三国と違い、柔らかい脇腹です。

私はNATO・EUがこれをきちんと認識し、実効的な戦略を立て行動するものと思っていました。

しかし、実際には以前からの路線を踏襲し、変わったところといえばセルビアを腫物を扱うがごとくになったところでしょうか。

NATOはセルビアとのパートナーシップの進展を評価し、またセルビアのNATO加盟せずの方針を尊重するとしています。

EUのモゲリーニEU外相は、セルビアを訪問しセルビアのEU加盟にはコソヴォ承認は条件とならないことを確認しました。


しかし、セルビア側は、たとえばダチッチ外相は「セルビアは東西の地政学の犠牲者とはならない」と友好的とは言えない発言を行い、またニコリッチ大統領もウクライナの領土保全を支持するといいながら「領土保全は重要で、そのためにセルビアはNATOと戦った」と嫌味とも取れる発言しています。

またモゲリーニ外相はコソヴォ承認は条件とならずと言いつつコソヴォとの関係改善を強く求めましたが、

あるNGOがベオグラードで開催予定の会議に出席予定であったコソヴォのサチ外相、もとコソヴォ解放軍KLAの指揮官だった人物ですが、

セルビア側はサチが来たら「戦争犯罪人として逮捕する」と明言しています。


こうしたセルビアとの関係をさらにこじらせているのが、帰国させたはいいが問題をまき散らしているシェシェリに慌てたハーグのICTJによるシェシェリの帰還要請です。

これについてセルビア政府は、セルビアという国家を軽んじているとかなり不快感を抱いています。


バルカン半島は、一向に改善しないセルビア・アルバニア・コソヴォ関係に加えシェシェリの帰還によって引き起こされたセルビアとクロアチアとの関係悪化、

さらにギリシアの親露派政権の誕生という事態が同時多発的に生起するという厄介な状況下にあります。

先月末から今月初頭にかけて、ギリシアのツィプラス首相、ラファザニスエネルギー相、カメノス国防相があいついでモスクワを訪問しています。

カメノス国防相は、ウクライナの報道によればギリシア系が住むクリミアをキエフの「ファシスト」から守ってくれてありがとうという発言を行いました。


EU・NATOの行動のこのまどろっこしさの根底にあるものは何でしょうか?

私は、問題は非常に根本的なものだと思います。

要するに、西側欧州は、戦略の根っこのところにあるヴィジョンのレベルにおいて、旧オスマン朝支配下にあった地域をどう定義し守っていくのか(あるいはいかなのか)について明確なものをいまだに持っていないのではないかということです。

旧ソ連圏でありながらあれほどソリッドな防衛体制をバルト三国において素早く整えたのは、あそこが旧来西欧文明圏だったという歴史的事実とは無縁でないと思えます。


今日はこんなところでしょうか。

それでは、Na shledanou!

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プロフィール

crnaoluja

Author:crnaoluja
こんにちは。
東欧地域の戦略環境分析が専門のシンクタンクで研究員をしておりますチェコ出身のエリシュカ・マジャーコヴァーと申します。

ネクロマンサーのすぴか、その一味のミルチャ・アントネスクとともに東欧情勢について御説明していきたいと思います。

ハンガリー以北(V4)+バルト三国は私、南東欧がミルチャ、地政学・戦略論など理論面はすぴかが担当致します。

文責は @crnaoluja (twitter)

ミルチャのアイコン絵はあんねこ先生より頂きました。
http://a-n-neko.tumblr.com/

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