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コソヴォ北部の危機:感想と意見

anica1

Picka ti materina!

アーニツァだ!

昨夜の約束どおり、今回はこの件について(今までの経過についての)私の感想と意見を述べる。




anica3

なんなんだ!?

西側主要国はタディッチ政権をぶっ潰したいのか!?

タディッチ政権の存続は、今のところバルカンの安定の要の一つなんだぞ!?

今のところの情報では、28日夜から開かれている国連安全保障理事会では、常任理事国のうち3つが拒否権を行使してセルビア代表の参加を拒否した。

コソヴォ独立を認めていない常任理事国は中露だから、どの国々かはわかる。

セルビアは公式文書を理事会に提出できるのみとなった。


今回、西側主要国は、既に認めているコソヴォ独立の線に沿って行動することを決めているようだ。

下のエントリで書いたように件の2つの「国境検問所」はNATOが非軍事地域と指定し、KFOR軍が展開する予定だ。

これは、セルビア人からこの「国境検問所」の管理権を奪い、行く行くはプリシュティナ政府に管理権を委譲してコソヴォの独立支援するためだと、セルビアから非難されてもおかしくはない。

これがきっかけで、プリシュティナの支配権がコソヴォ北部のセルビア人地域に及ぶようになると仮定してみよう。

1999年から今までのコソヴォ内でのアルバニア人とセルビア人との関係を考えると、このセルビア人達は、KFORやEULEXの監視下にあるとはいえ、有形無形の迫害を受ける恐れがある。

事態が悪化すれば本格的民族衝突もありえるが、その場合どうしても少数派のセルビア人の分は悪くなる。

そうなった場合、コソヴォのセルビア人は、そしてセルビア本国のセルビア人はどうするのか?

コソヴォのセルビア人はもともとアルバニア人からなるプリシュティナ「政府」による一方的独立を認めていない。

彼らが本格的にコソヴォからの独立を言い出し、行動しだしたら西側主要国はどうするのか?

そしてセルビア本国のセルビア人は、既にEU加盟を餌にコソヴォを奪われたが(戦犯引き渡しの件は今はおいておく)、彼らのEUへの、そしてEU加盟とコソヴォ奪還を唱えてきたタディッチ政権への感情の行方は?

今までのタディッチ政権の親EU姿勢、またそれを支持するセルビア人の政治的選択は、何度も言うがバルカン安定の要の一つだ。

これがどうなるのか?

今年冬に、右派政党のセルビア進歩党などがタディッチ退陣を要求するデモ(二万人程度参加)を行った。

彼らは同様のことを今年9月あたりに行う予定だが、そのときどのくらいのセルビア市民が参加するのか、考えてしまう。


supika2

私も今回の西側主要国のこのやり方はまずいと思います。

バルカンのような多民族入り乱れの地域での地域紛争解決のための話し合いでは、問題当事者の「本国」あるいは影響力のあるアクターは参加させるべきです。

今回、セルビア本国が口出しできないことで、コソヴォ北部のセルビア人の態度が硬化する恐れがある。

ボスニア・ヘルツェゴヴィナ内戦に集結をもたらした1995年のデイトン合意のための会談には、セルビアのミロシェヴィッチ大統領、クロアチアのトゥジュマン大統領も出席・参加しました。

1999年のNATOによる新ユーゴ空爆においては、ロシアによるミロシェヴィッチ説得も戦争終結に貢献しました。

今回、コソヴォのセルビア人の恐怖をやわらげ、態度を硬化させるのを防止するのに西側主要国はどのような対策をとるつもりなのでしょう?


anica2

…私は1989年にミロシェヴィッチが台頭してきたときを思い出すよ。

彼に台頭の機会を与えたのは、コソヴォの件だった。

1980年のアルバニア人によるコソヴォでの大規模な暴動以来、コソヴォの警察権はセルビア共和国からコソヴォ自治州に大幅に移譲されたが、そのせいでコソヴォ内のセルビア人(とモンテネグロ人)は迫害を受けた。

セルビア共和国警察はほとんどなんの手出しもできなかったからだ。

そのときのコソヴォのセルビア人とセルビア本国のセルビア人のフラストレーションに上手く乗っかったのがミロシェヴィッチだ。

今の時点で、ミロシェヴィッチみたいなのが出てくるような気はしないけどね。

バルカンでは一方的な被害者などいない。いるとすればロマくらいのものだ。

この意味でもセルビア本国はこの問題から除外されるべきではない。


supika3

クロアチアのセルビア人マイノリティーを思い出しますね。

1991年にクロアチアが独立に向けて動き出したとき、クロアチア内のセルビア人は、暴力的な迫害こそされなかったものの、キリル文字使用の禁止などの強制をされた。

彼らは第二次大戦時にクロアチアのウスタシャ政権から受けた大規模な迫害を覚えているので、態度を非常に硬化させた。

クロアチアが独立を宣言すると、それを認めないセルビア人はクロアチアに対し蜂起した。

ユーゴ連邦軍は「セルビア人が迫害されている」という口実でクロアチアに入り、クロアチア内戦が始まった。


このときも、当時の西側主要国(とりわけドイツ)はクロアチア・スロヴェニアの独立支援に熱心だった。

そしてクロアチア内戦に終結をもたらした、クロアチア政府による、休戦協定を破ってのセルビア人支配地域攻撃・掃討作戦の前には西側主要国はクロアチアに軍事援助さえ行った。


旧ユーゴ崩壊からこの地域を公平な目で見てくると、セルビア人は思うところはいろいろあると思います。


anica1


さしあたっては、安全保障理事会がどうなるか見ものだよ。

コソヴォの利益になるようなことは露中が拒否権行使するだろうから、なにか決定的な決議がなされる確立はゼロに等しいと思うがな。

今、コソヴォのセルビア人がKFORの展開に抗議して道路を封鎖している。

この記事にあるように、もう一つの「国境検問所」でコソヴォ「政府」の警察部隊KPSが掌握しているブルニャクでは、町のセルビア人が兵糧攻め状態にされている。


本当にプリシュティナだけを相手にして問題が解決するものか、しばらく見ていくとしよう。


それでは今日はここまでだ。

Laku noc i Do vidjenja!


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Author:crnaoluja
こんにちは。
東欧地域の戦略環境分析が専門のシンクタンクで研究員をしておりますチェコ出身のエリシュカ・マジャーコヴァーと申します。

ネクロマンサーのすぴか、その一味のミルチャ・アントネスクとともに東欧情勢について御説明していきたいと思います。

ハンガリー以北(V4)+バルト三国は私、南東欧がミルチャ、地政学・戦略論など理論面はすぴかが担当致します。

文責は @crnaoluja (twitter)

ミルチャのアイコン絵はあんねこ先生より頂きました。
http://a-n-neko.tumblr.com/

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