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モンテネグロの反NATOデモ、背景と今後の展開について現時点での分析

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Dobry vecer!

エリシュカです。


この件については実のところ情報収集中でして今なにか発信することに少々ためらいがあるのですが、重要なことですのでロシアとセルビアのニュースをもとに現時点での情報と分析を書いてみたいと思います。



スプートニク・セルビア語版の、モンテネグロでのNATO加盟反対デモ。

記事にデモ隊は「ロシア!」「プーチン!」、NATOについては「人殺し!」とシュプレヒコールを上げていると書かれていますが、動画見ると「セルビア!」とも言っていたり「1999」と書かれたプラカードやセルビアとロシアの旗持っている参加者がいます。

スプートニクなので記事にプロパガンダ的なものもあるかと思いますが動画がいくつか貼ってありますのでそちらを。 
http://rs-lat.sputniknews.com/regioni/20151212/1101762951/Protest-protiv-clanstva-Crne-Gore-u-NATO.html?utm_source=short_direct&utm_medium=short_url&utm_content=apUg&utm_campaign=URL_shortening



そしてセルビアのニュースの記事より。

モンテネグロ:「新セルビア人民主党(NSD)」党首、「NATO加盟はモンテネグロに内戦をもたらす」。 反対派は住民投票を求める 。
http://inserbia.info/today/2015/12/mandic-nato-membership-may-bring-montenegro-to-civil-war/

この記事では今年10月の世論調査ではモンテネグロ国民の50.2%「しか」NATO加盟支持してないと書いてありますが、1999年のNATOによる空爆の記憶がある中この割合はむしろ多いのではないでしょうか。

モンテネグロの2003年の国勢調査で民族構成はモンテネグロ人が43.16%、セルビア人が31.99%、ボシュニャク人が7.77%、アルバニア人が5.03%、ムスリム人が3.97%、クロアチア人が1.1%、ロマもしくはエジプト人と答えた人が0.46%ですので、NATO加盟支持50.2%ならばこの記事(セルビアのニュース)のようにモンテネグロ人の中に反NATO感情が根強いとは考え難いです。

モンテネグロの反NATO加盟運動の件、本当にロシアとセルビアがバックにいるのだとしたら、内戦状態にして加盟できなくさせるのが最も手っ取り早い手でしょう。

内戦状態になったモンテネグロをNATOがそのまま加盟させるとは考えにくい。

モンテネグロが加盟すればセルビアは(NATOにその意思がなくても)包囲状態になり海への出口ふさがれることになるし、セルビアにとっても地政学的に受け入れがたいものがあるでしょう。セルビアとNATOとの関係は現在良好ですが1999年とコソヴォ独立の件でやはりNATO不信がある。

ところでこの記事が言うように内戦になるのだとしたら民族紛争の様相を呈するのかどうか。モンテネグロ人とセルビア人との間に深刻な民族衝突は起きたことはないし逆にアルバニア人(アルバニアはNATO加盟国)との仲はあまりよろしくない。ただ第二次大戦まで何も深刻な民族衝突が起きたことのなかったボスニアがああなった例もあります。

モンテネグロは周囲をアルバニア、ボスニアのスルプスカ共和国、セルビア(のサンジャク地方)、コソヴォ、クロアチアといった不安定な諸国に囲まれ、国内に騒乱が起きた場合不安定がこの地域に伝播する可能性も無きにしも非ず。

私が前から言っていた、ロシアがNATOの柔らかい横腹であるバルカンで騒乱を起こす行動に出る可能性、この件に該当するかはまだ様子見です。

これは今現在の西側とロシアとの、北極海から東欧、シリアまでの対峙の状況とロシアの地政戦略を分析したうえで答えを出さなければなりません。



私個人はバルカン諸国が自分たちのみでバルカン安定を維持するのは無理と考えており、NATOとEUがバルカン全域を取り込んで前者がハード面で、後者がソフト面でバルカンの安全保障を管理するのが理想だと考えてきましたが、セルビアを取り残す形になったのは、諸事情があったとはいえやはりまずい政策だったと思います。


今日はこんなところでしょうか。

それでは、Na shledanou!

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モンテネグロのNATO加盟と今後の展望

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Dobry vecer!

エリシュカです。


まず、NATOのトルコの扱いについてさらっと述べておきたいことがあります。

NATOがトルコ国境防衛を強化するという記事。これは書いてある通りの不安定で何が起きるかわからないトルコ南部国境を固める意図以外にトルコ軍をコントロール下に置くという意図もあるんじゃないでしょうか。
http://www.yomiuri.co.jp/world/20151202-OYT1T50059.html?from=tw

トルコ南部国境の防衛をNATOのコントロール下においてロシアとの情報のやりとりをより活発に行うことで露と危険な状態に陥る可能性はだいぶ抑えられると思います。


さて、本題です。


モンテネグロのNATO加盟がバルカンの安定に寄与する具体的なことはモンテネグロとクロアチア、アルバニアとの問題をコントロールできるようになったということでしょうか。ただセルビアを包囲する形になるからセルビアも準加盟国扱いくらいにしないと国民感情を刺激するでしょう。セルビアはNATOには加盟しないと言っていますが。

ところで今年の2月にこのような記事がありました。
露がモンテネグロのNATO加盟に反対する理由に具体的なものがあるならバールとコトルを海軍基地として使いたかったということでしょうか。
http://www.slobodnaevropa.org/…/officials-squ…/26839898.html

これははっきり確定した疑惑ではもちろんありません。ただ、ベオグラード・バール鉄道修復に露が出資するという話はあります。

帝政期にはモンテネグロのコトル湾使いたがってましたしね。ともあれモンテネグロは日露戦争時にロシア側で日本に宣戦布告するなど伝統的に親露国だしそうしたことが実現できるという読みをロシア側はしてたのかもしれません。

今のモンテネグロ政府は親西側。反政府運動についてジュカノヴィッチ首相は裏にセルビアとロシアがいると言っていますがそのあたりの真偽の判断は難しいですね。

ともあれセルビア側のサンジャクのムスリムがモンテネグロ側のサンジャクにちょっかい出せる可能性は大幅に低くなったでしょうか。あそこの動きはセルビア政府にとっても好ましくないからロシア・セルビアがこれを利用するとは思えませんし。

ともあれNATOをセルビアにとってのアグレッサーだと思い込んでやまないセルビア人をなだめるためにNATOは最大の努力をしないと、モンテネグロが加盟すればセルビアを包囲する形になるだけにセルビアの国民感情を刺激してよりロシアのふところに飛び込ませることになるでしょう。

主要NATO加盟国がバルカンの加盟諸国の国境をガッチリ固めて国家間戦争や民族紛争の伝染を阻止できる軍事力を展開する意志を持っているならいいですが、持ってないのならNATOの信頼性に瑕疵を与えることになるでしょう。。セルビアを外交的に取り込むことがなんとしてでも重要になってきます。

あとマケドニアのアルバニア人問題。トルコとギリシアがああいう関係でも戦争にまで至らなかったことを考えればNATO加盟国同士にはNATOの調整が効くのでしょうが、マケドニア問題が火を噴いた場合関係諸国が理性を保っていられるかは不明です。

マケドニア「奪還」のために戦争して戦争のたびに領土を失っていったブルガリアを見ればいかにこれが理性を失わせるかわかります。まあブルガリア人にとっては彼らなりにマケドニア奪還という目的のための理性的な行動だったのでしょうが。

ブルガリアに親西側的な行動を取らせる(今の政府は親西だが今後はわかりません)ためにブルガリアをシェンゲンの壁に入れるなどいろいろ恩恵を施すべきでした。今のEUにどれほど魅力感じているかは知りませんが。

ただ、マケドニア問題がある限りブルガリアがロシアになびくことはないでしょう。過去2度の大戦がそれを証明しています。


今日はこんなところでしょうか。

それでは、Na shledanou!

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プロフィール

crnaoluja

Author:crnaoluja
こんにちは。
東欧地域の戦略環境分析が専門のシンクタンクで研究員をしておりますチェコ出身のエリシュカ・マジャーコヴァーと申します。

ネクロマンサーのすぴか、その一味のミルチャ・アントネスクとともに東欧情勢について御説明していきたいと思います。

ハンガリー以北(V4)+バルト三国は私、南東欧がミルチャ、地政学・戦略論など理論面はすぴかが担当致します。

文責は @crnaoluja (twitter)

ミルチャのアイコン絵はあんねこ先生より頂きました。
http://a-n-neko.tumblr.com/

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