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欧州の対テロ戦争とシリア情勢のバルカンへの影響、思考実験

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Dobry vecer!

エリシュカです。



今現在欧州における対テロ戦とシリア情勢が具体的にどう南東欧情勢に影響するかについては現段階では明確なことは言えません。

今回はちょっとした思考実験です。

今回はISIS側がテロを以下のような戦略に基づいて行ったらどうなるかについて考えてみることにします。

バルカンのイスラム教徒エリアからISISへの参加者が多く出ている今の状況ですと、90年代のボスニア内戦時にイスラム過激派があそこをアフガン化しようとしたことをバルカンのイスラム教徒エリア全体に対して再度実行するかもしれませんし、実は見えないところでもう進行してるかもしれません。

ISISが本格的に欧州攻撃に出た、そして一部の報道にあるようにISISが拠点を欧州に移そうと本気で考えてるのならバルカンは彼らにとって戦略的に価値があるものになりました。ただ頭が狂信に染まってる故どこまで理性的に欧州を弱らせる戦略を立てられるか疑問ではありますが。

理性的に欧州を弱らせる戦略と私が考えるものは以下のようなものです。

私が今までロシアがバルカンで実行するかもしれないと言っていたこと、つまりバルカンを不安定化させてEU・NATO域内に巨大な潰瘍を作るということをISISが実行すれば欧州はISISに対する攻撃を弱めざるを得なくなるでしょう。

もちろんバルカン諸国においてISIS帰りの取り締まりはキツくなっていますが、難民に紛れ込ませて戦闘員を送るという手段もあります。そうしたテロ要員にバルカン諸国、キリスト教徒が多数を占め伝統的にムスリム系住民との対立の構造がある地域のあちこちでテロをやらせればイスラム対キリスト教徒諸民族の武力紛争を誘発し、それがもともとあるキリスト教徒民族同士の紛争への導火線になる可能性があります。

民族紛争が激化すればするほど、憎悪が増幅されればされるほどISISは人員確保が加速度的に容易になる。バルカンであれコーカサスであれ中央アジアであれ激烈な紛争起こせばISISのアドバンテージになる。欧州・ロシア全域を戦域として紛争を戦略的に引き起こせばよいのです。

それに加えて欧州・ロシア内で国家システム・経済を麻痺させるような部分を狙って効果的なテロを行えばわりとなんとかなるかもしれません。やはり狂信に染まった頭ではそこまで戦略的に考えられんかもしれんがしかし狂信がなければ人員確保ができなくなるというジレンマ がありますね。

要するにテロは相手方の国家破壊を戦争目的とし累積戦略の手段として用いるべきなのです。国家システムのマヒが目的であれば電撃戦的な順次戦略となると一見考えられますが、テロ程度でそう簡単にそうした戦果は望めないと考えられますのでそれは累積戦略になるでしょう。攻撃側は累積戦略と順次戦略の組み合わせが通常必要ですが、この場合累積戦略であっても人体内のウイルスのようにその攻撃は国家自体の破壊をもたらします。

ただテロがこのように用いられた事例がないのでそうした考えが妥当かどうかはわからず現時点では理論的なことしか言えませんが。

とりあえずいえることは、ISIS側がこうした戦略とった場合バルカンには新たな脅威が発生するということです。


今日はこんなところでしょうか。

それでは、Na shledanou!

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管理人への執筆依頼などはこちらの連絡先でお受けいたしております。 http://seeuro.com/?page_id=10

 
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バルカン安定化のグランド・ストラテジーと英国の「暴動」

supika1


お久しぶりです、すぴかですー^^

暑いですねーw

私の体はもう腐敗と虫の食害による崩壊がひどくて、今アイコンとはほどとおい姿になってます てへ


えー、私が出てきたということはですね、今回は戦略論まわりの内容になるということですー

お題は、バルカン安定化のためのグランド・ストラテジーと先週末~今週中旬まで続いた英国での「暴動」についてです。

では、さきに英国のほうをやってしまいましょー^^


ちなみに、いちいち「暴動」と「」でくくるのは、この件が多層的で一概に暴動とは呼べないからです。

今回取り上げるのは、今回の件でもっとも懸念された、無法行為の面です。


この面は、識者の間でも危機感を抱いた方々が多かったようです。

これは、英国の社会の下層部における秩序遵守意識が予想以上に腐食しているためであり、

そのために際限なく広がる恐れがあり、抑える方法はなく、それが他国にも波及する恐れがあるためです。


今回は、この不法行為の面を非対称戦の戦略面から見ていきます。

あ、もちろんこれは、これを仮に非対称戦と仮定して、との前提があっての論議です。

私は英国の内政に詳しくないし、あまり陰謀論には頭をつっこまないので、そのあたりは他の人に任せることにしています。


まず、結果論として、今回の一連の無法行為はかなりの戦略・戦術上の優越性を見せ付けました。

J.C.ワイリーの摩擦戦略の概念から見れば、分散の度合いの高さと敵に与えるダメージの大きさを考えれば、摩擦戦略のモデルケースとも言っていいものです。

もちろん、今回は警官の死傷などの実害は出ていません。しかしかりにそこまで暴力を発展させればそういう結果になったことでしょう。

実害としてもっとも深刻なのは、国家・社会の根幹である国民の秩序遵守意識を腐食させたことです。

この行動は他の似たような階層の者達にインスパイアした可能性が高く、それが拡大し、

またそれへの反動として「自警団」がいくつも組織されましたが、それも国権への不信と社会の分裂を増大させるものです。


今回の無法行為において、政権側はただ警官を増やして威圧するだけしかできませんでした。

キャメロン政権がSNSの使用禁止という自由主義国家にあってはありえないことを議論しているのも、政権側の手詰まり感を如実に表しています。

何しろ相手側は組織化されていない。

指導者どころかそもそも無法行為そのものが目的なのであるから、政権に対する首尾一貫した要求などがなく、問題にイシューがなく、交渉で相手を軟化・沈静化させることができないのです。


仮に、目的を持った集団が存在し、それが首尾一貫した戦略をもってこの無法行為を行わせているとしたら、かなりの成果をあげることになるであろうと思われます。

ちなみに、それは国内よりも国外の、今回で言えば英国に悪意を持つ集団である可能性のほうが高いことになるでしょう。

この無法行為の手段であり目的であるのは、国家・社会秩序の腐食・破壊です。

国内を、こうしたものを破壊して「何でも好きなことのできる」無法地帯にするという思想の者が国内にいる可能性もありますが、

仮にそうした国外の悪意者が、対象国のこうした弱点を分析・洗い出し、

エージェントを国内に送り込んで扇動を行えば、それが成功すれば長期間対象国を麻痺させることができるでしょう。



supika2

さて、次は、アーニツァがずっとお伝えしていた、バルカンの安定化についてです。


おさらいしておきますが、欧米主要国のバルカン安定化政策は、リアリスト及びリベラリスト的手法の混合です。

ちなみに、この国際関係論の2つの用語についてご存じない方が結構居られるので、ぶっちゃけて説明しますと、

「リアリスト」は勢力均衡を安定化の条件とし、「リベラリスト」はそれを相互依存に置きます。


1991年から1995年まで行われた一連の旧ユーゴ紛争の終らせ方はまさにリアリスト的手法でした。

当時はセルビア人武装勢力側の勢力が突出していたため、

まずクロアチアをして国内のセルビア人支配地域を攻撃・掃討せしめ、

またNATO軍自体による攻撃(デリベレイト・フォース作戦)によりボスニア内のセルビア人支配地域を縮小せしめ、

ボスニア国内ではなく、クロアチア、セルビア本国を含めた勢力均衡体制を作り出す。

さらに、1999年のNATO空爆で新ユーゴ軍の弱体化とミロシェヴィッチ政権の打倒(私個人はあの攻撃はかえってミロシェヴィッチ政権を一年間延命させたと思ってますが)により、バルカン安定の「トゲ」を除去する。

ここまではリアリスト的手法です。

その後、EUとNATOがこの地域を抱合して、リベラリスト的手法で「毒」を抜いていく」

ちなみに、私はバルカン諸国どうしのリベラリスト的相互依存関係はあまり紛争予防には貢献しないという印象があります。

例はいくらでもありますが、ためしに卑近のユーゴ紛争で例をとってみても、

ひとつの村の中で「相互依存」しあいながら生活してきた者たちが殺しあったのです。

そうすることがお互いの不利益になるにもかかわらずです。

不利益を承知の上で、というより、相手を倒してしまうことが利益になると本気で思ってしまうような思考パターンが、この思い込みの激しい民族が集まっているバルカンではあるようです。


しかし、今回は、NATO、EUが彼らを欧米主要国とじかに統合し、またそういう期待を抱かせることによって、完全に彼らをして騒ぎを起こさないほうが利益になると思い込ませることに成功したのです。


ここまでは、紛争地域安定化のモデルケースとして最高の評価をしてもいいくらいでした。


しかし、ここでコソヴォ独立ということをやってしまいます。


紛争地というのは大抵民族のモザイクになっていることが多く、しかもそれぞれが「本国」による帰属を望んでいるので、この中のある地域を独立させるとマトリョーシュカ現象を引き起こすケースが多く、

管理している紛争地域の中では、独立などという危なっかしい行為はやらないほうがいいというのが私個人の考えです。

欧米主要国はマトリョーシュカ現象が今回起きることは分かっていたはずです。

コソヴォ北部にセルビア人がいてアルバニア人との統合は不可能に近いというのはよく知られたことだったからです。

今回、コソヴォを独立させて、コソヴォ北部のセルビア人問題というマトリョーシュカ現象を引き起こしてしまったことにより、

コソヴォ・アルバニア人とコソヴォ・セルビア人及びセルビア本国との関係がゼロサムゲームになってしまう危険性があります(もうなっているかもしれません)。


欧米主要国事態があんな状況になっているのに、一体彼らにこの問題をどうにかできるのか。

出てきそうなロシアの動向も睨んで、これから注視していく必要があります。


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市街地戦争における問題概観

anica2

Picka ti materina!

アーニツァだ!


今日は市街地戦争についてだ。

市街地戦争はそれ自体は正規戦、非対称栓双方を含む。市街地という地形は他と同じくニュートラルだからだ。

しかし、キレイでスマートな戦争を行いたい先進国の軍隊にとって非常に困難である市街地戦争では非対称戦が生起しやすい。

今回は市街地戦争における諸問題の概観を書いておくことにするぞ。

古来より市街地戦争は多々ある戦争の中でもっとも困難なものでありできれば避けるに越したことは無いと言われている。

それは現代においても変わらないどころか先進諸国の軍隊にはより困難なものとなっている。

とりあえず、市街地戦争の困難さの基本的なところを把握しておこう。

試しに、君の部屋の窓を開けてみるのだ。

そして狙撃兵、または小銃やグレネードランチャーを構えた歩兵が隠れていそうな場所を探してみるといい。

彼らに対処するにはどうしたら? まあ実際には窓から顔を出した瞬間にやられてしまうだろうが。

また、君を襲うのは弾丸やグレネードだけではない。それらが例えば窓ガラスやコンクリートの壁に当たれば破片が君を襲う。建物の当たり所が悪ければ君は倒壊する建物の中で圧死するかもしれない。

場所によっては危険なガスが発生するところもあるだろう。

そこで、また例えば君が部隊を率いて敵と戦っていると仮定しよう。

そのとき通信手段は? 破壊された電子機器などからの電波で通信不能かもしれない。

敵にとって好都合な昼間を避けて夜間に、また暗い建物の中で戦う場合、赤外線スコープは役に立たないかもしれない。市街地では、特に破壊された状況では赤外線スコープに移ってしまう邪魔物が多く存在するだろう。

近接航空支援は、回転翼機は建物の最上階や屋上から簡単に狙えるし、固定翼樹からの攻撃はそれが精密誘導弾であっても市街地のようなごちゃごちゃしたところでは余計な被害をだす恐れがある。

第一次チェチェン戦争でグローズヌイ市に突入したロシア軍戦車は建物の上階からRPGで後背部を破壊された。

さらに市街地にまだ住民が残っている場合、彼らの損害を出さずにどうやって敵のみを倒すことができる?

と、ざっと市街地戦争における困難さを書いてみた。

このような状況下ではキレイでスマートな戦いを要請されている先進諸国の軍隊は困難な闘いを強いられる。

彼らの戦争の最重要課題であるC4IRS、簡単に言って司令部から末端まで情報を共有し、見えない中で各友軍部隊の位置・状況を把握しまた敵情報を正確にとらえ、すばやく的確かつ効果的に戦闘行動を行うには障害があまりに多い。

さらに、問題となるのは戦場となった市街地に民間人が居住している場合だ。

戦場である市街地は彼らの財産そのものであり、生存するために不可欠なものである。

仮に首尾よく戦争を終らせたとしても、市街地の破壊の程度によっては民間人のケアにかなりの努力をしなければならない。インフラが復旧するまで夥しい民間人のために食料や水を供給し、戦後はインフラ復興を迅速かつ効果的にやらないと都市住民特有の群集心理によって手に負えない自体に突入するかもしれない。

しかし、市街地戦闘は避けられないものである。

よくカウンター・インサージェンシー(例えば対ゲリラ戦)でゲリラ側が農村部など市街地の周囲を掌握して戦略的優位にある場合を攻撃側の「点と線だけの占領」というが、仮に攻撃側が「点と線」以外の部分を占領したとしてもそれも成功とはいえない。「点と線」は不可欠なものである。

それは、都市がその地域の政治的、経済的、またメディアや宗教など心理的に重要な拠点であるからだ。

そのため、例えば米軍などは市街地戦争を冷戦時代より研究してきた。

その卓越した軍事テクノロジーと戦略・戦術の研究により、いくつかの先進国の軍隊は都市における正規軍同士の戦争には高い確率で勝利を収めることができる能力を持つようになった。

しかし、非対称戦を行う対手の問題はまだ解決してはいない。



今日はこんなところだ。


今回は、後日市街地における非対称戦を取り扱うのに先立って、市街地戦争がどんなものであるか、どのような諸問題があるのかを書いてみた。



それでは、 Do vidjenja!

『超限戦』

anica1

Picka ti materina!

アーニツァだ!

今回の話題は、以前ちょっとだけ話した、1999年2月に中国で出版され反響を読んだ『超限戦』だ。

この著書は何年か前まで"Unrestricted Warfare"の英題でPDFが拾えたのだが今は無くなっているようだ。しかしそれは何ページにも及ぶし、日本語版を入手した方が手っ取り早いと思う。

さて、この超限戦という語だが、英題を見て分かるとおり、全くのフリーハンドでの「戦争」という意味だ。

ここで「」とつけたのは、この本で述べられている「戦争」が軍事にとどまらないからだ。

前に書いたように、現代先進国の軍隊はキレイでスマートな戦争を追及している。

そうした分、こうしたフリーハンドの「戦争」をする相手に大しては反比例をして脆弱になっている。

これはまさに現代の非対称戦のメリットをあますことなく開陳した著書で、非対称戦に興味がある人に是非一読を進めたい。この一冊で非対称戦というものの全体像がはっきりするだろう。

もう一度言うが、

現代先進国の軍隊は、その発達した人権思想の要請により、その発達したテクノロジーを駆使して、自軍と敵側民間人の損害を最小限にとどめつつ敵を徹底的に無力化するという「キレイ」で「スマート」な戦争を追及してきた。

「軍事における革命(Revolutions in Military Affairs, 略してRMA)」はそのことをまさに達成したかのような語である。

しかし、そうした戦争が英語文献で「外科的(surgical)」と形容されるように、現代先進国の軍隊は職人技のような戦争、つまり攻撃目標をすばやく発見し、すばやく移動・捕捉し、正確に攻撃し、確実に撃破してのちすみやかに撤収する、というややもすれば机上の理想像であるかのような戦争のやりかたを実践することを要請されている。

ここが、非対称戦を行う者の目の付け所なのだ。

外科医がどんなに優秀でも手術中邪魔をして失敗させるのは子どもでもできるものである。

「キレイ」で「スマート」を「キタなく」「無様に」してしまうのは地味で簡単な手段の積み重ねで十分だと言うことは前回書いた。

ここまでは、軍事の分野だ。

だが、『超限戦』はこれだけにとどまらない。

その攻撃対象は軍事に限らず、また敵本国の社会・経済に直接打撃を与えることを目的としている。

純軍事的なものを狭義の安全保障、社会・経済など非軍事分野をも含めたものを広義の安全保障とよぶことがあるが、ここではその敷居は取り払われている。

この意味で超限戦は非対称型戦争ながら直接戦略をとるものと言えよう。

この著書では攻撃のタイプとして、

軍事:核戦争、通常戦、生物化学戦、生態戦、宇宙戦、電子戦、ゲリラ戦、テロ戦、

超軍事:外交戦、インターネット戦、情報戦、心理戦、技術戦、密輸戦、麻薬戦、模擬戦(威嚇戦)

非軍事:金融戦、貿易戦、資源戦、経済援助戦、法規戦、制度戦、メディア戦、イデオロギー戦

を上げ、これらを組み合わせて同時に攻撃を行うことが効果のある超限戦であると主張している。

この戦争を行う上での原則として、全方向性、リアルタイム性、有限の目標、無限の手段、非均衡、最小の消耗、多次元の協力、全過程のコントロールが提示されている。

この著書では、時期的に1998年のアジア通貨危機の時期であることから特に金融攻撃の有効性が強調されている。

しかし、現代先進国の社会・経済について全体像を把握している人にとっては、こういう戦争の恐ろしさが理解できるだろう。

現代の、人権思想が発達し、攻撃されることに心理的にも物理的にも脆弱化した人々が構成する、ダメージに脆弱で、また高度にネットワーク化されダメージがあっというまに拡散する現代先進国の社会・経済において、

こうした犯罪行為上等のなんでもありの攻撃を複数同時に受けたらどうなるか、想像してみるのだ。

現代先進国の社会・経済が発達すればするほど、フリーハンドの超限戦ファイターたちにより与えられるダメージの深刻度は増すばかりなのだ。

このブログでは基本的に軍事問題を扱っている。

しかし、超限戦について知ることは非対称型戦争の原理を知るのに好都合であるし、

これからのこのブログの内容の理解のために適当であると判断し、今日このエントリを書いた。

また軍事に限定すると言っても、実際にこうした攻撃が行われれば軍事・非軍事の境界がなくなるわけであるから、そうしたトピックが来れば当然そうしたものについても書いていくつもりだ。

非対称戦を扱っている以上、必要があれば軍事以外のものごとについても扱う。



それでは、今日はこんなところだ。




Do Vidjenja!

攻撃側の縛り。

anica1

Picka ti materina!

アーニツァだ!


今回は非対称戦を行う相手を攻撃する側についてまわる問題点について書くぞ。

非対称戦遂行側は、当然そこをついてくるわけだ。

その前に、現代、わけても先進国の軍隊というものについてだ。

現代先進国の軍隊を考えるときに欠かせない要素は、

・卓越したテクノロジー

・「人道主義的な」世論

・金がかかる

大まかに言うとこの三つだ。

戦いというモノは、手早く、確実に相手を屈服させるのにこしたことはない。

先進国の高度に発達した軍事技術はその軍隊をして、戦略・戦術両単位で戦場を正確に把握し、迅速に部隊を投入し、正確に攻撃し確実に敵を仕留め、速やかに撤収するという理想的なものに限りなく近づけている。

この、すみやかに、正確に、というのは二番目の、極めて「人道主義的」になった現代先進国の世論に対する対処でもある。

今でも軍事系の論文では戦場の模様がすぐさま世界中に伝わることを「CNN効果」と呼んでいるが、インターネットなど高度に通信技術が発達した現在、戦場において隠し事をすることは不可能になっている。

攻撃が正確でなければ民間人の巻き添えが増える。

戦争が長引けば民間人が死傷する割合が上がる。

また、当然自軍の側の死傷者が出る確率も高くなる。

こうした情報はたちどころに本国どころか全世界に伝わり、国の内外からの批判を浴び、戦争遂行に必要な世論形成に悪影響を及ぼす。

また、戦争が長引けばそれだけ金がかかるのは当然のことだ。これは世論どころか政府内にも戦争遂行を躊躇する空気を発生させる。

つまり、現代先進国の軍隊は、敵兵と民間人を厳格に選り分け、敵味方の損害を少なくして、ジュネーブ条約で禁止されるような「非人道的な」兵器を使用せずに、「人道的に」敵をすばやく屈服させることが要請されている。

非対称戦を遂行する側にとっては、敵のこの部分は絶好の利用対象だ。

例えばゲリラ戦を行っている武装集団は、できるだけ分散するなり兵器を隠蔽するなどして戦争を長引かせる。

そして民間人に紛れて攻撃し、わざと反撃の際に民間人が巻き込まれるようにすればそれは即座に全世界に報道され、敵の本国のみならず世界各国の世論にも影響を及ぼす。

戦略・戦術論から言っても、対ゲリラ戦の原則はゲリラという魚が泳ぐ一般大衆という海を干上がらせる、つまり戦場の一般大衆の心をこちら側に引き寄せることであるだけに、重大である。

また戦争が長引けばそれだけ攻撃側の戦費がかさむのはここに書くまでも無いだろう。

現代先進国の軍隊とそうでない国々の軍隊とが正規戦をやったとして後者が勝つ確立が限りなくゼロに近い今日、

現代先進国の軍隊は逆に非対称戦を遂行する相手に対して昔以上に脆弱になっている、と言ってよいだろう。

それでは次回は著作「超限戦」などを参考に、非対称戦の戦略・戦術について書いてみるつもりだ。





それでは、 Do vidjenja!

プロフィール

crnaoluja

Author:crnaoluja
こんにちは。
東欧地域の戦略環境分析が専門のシンクタンクで研究員をしておりますチェコ出身のエリシュカ・マジャーコヴァーと申します。

ネクロマンサーのすぴか、その一味のミルチャ・アントネスクとともに東欧情勢について御説明していきたいと思います。

ハンガリー以北(V4)+バルト三国は私、南東欧がミルチャ、地政学・戦略論など理論面はすぴかが担当致します。

文責は @crnaoluja (twitter)

ミルチャのアイコン絵はあんねこ先生より頂きました。
http://a-n-neko.tumblr.com/

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